乱反射
乱反射 貫井徳郎著
バタフライエフェクトを小説にしたって感じ。
1人1人の小さな悪事が結果的に幼い子どもを死なせてしまったという話。
悪事なのか、モラルのなさなのか、欠けた良心なのか。
事故や不幸が起こるときは、確かにいつも小さなエラーが重なる。
どれか1つでもなければ、起こらなかったということはよくある、本当によくある。
でもその1つが小さいことのように思えて、当事者にはこのくらいは大丈夫だろうと思えてしまう。
貫井さんは文章が読みやすくてそこがとても好きだ。
「愚行録」もとても良くて、タイミングが違えば直木賞受賞できただろうと思う。
「乱反射」は第63回日本推理作家協会賞を受賞している。
たくさんの人が登場する群像劇なんだけど、その登場人物1人1人が、こういう人いそうだなあと思わされる。ごく普通の人を描くのが上手。
「愚行録」もそうだが、社会情勢を取り入れて書いている。設定に無理がなくて、ああ、いそうだなと思わされる自然さ。
好きな作家さんの1人。もっと評価されてほしいな。